男性ホルモン注射とは〜効果や男性更年期障害の治療について〜

このコラムのポイント

  • 男性更年期障害は男性ホルモン(テストステロン)の減少が原因で、身体・精神・性に関する様々な症状が現れる

  • 男性ホルモン注射(エナルモン注射)は、テストステロンを直接体内に補充する効果的な治療法の一つである

  • 男性更年期障害の診断には専門的な検査(男性力ドック)が有効で、症状に応じた適切な治療を受けることが重要

やる気が出ない、性欲が湧かないといった症状は男性更年期障害が原因かもしれません。更年期障害は女性の病気というイメージがありますが、実は男性にも起こる病気で、自然には治らず治療が必要なケースもあります。

男性ホルモン注射は男性更年期障害で選択されることの多い治療方法です。この記事では男性ホルモン注射や男性更年期障害について詳しく解説していきます。

男性ホルモン注射とは

まずは男性ホルモン注射について詳しく見ていきましょう。

テストステロンを注入するホルモン療法

男性ホルモン注射は男性ホルモン「テストステロン」を注入する治療方法です。男性ホルモンにはさまざまな種類がありますが、テストステロンは最も分泌量が多く強い作用を持っています。

テストステロンには男性らしい体を作る、前向きな気持ちにする、生殖機能を高めるといった、男性にとって欠かせない働きがあります。そのため、テストステロンを注入することで男性の心身の健康や生殖機能の向上に繋がるのです。

男性の更年期障害(LOH症候群)の治療に用いられる

男性の更年期障害は男性ホルモンの分泌量が減少することで起こります。男性ホルモンは加齢やストレスが原因で分泌量が減ってしまうのです。

男性ホルモンの分泌量が減ると、やる気がなくなったりネガティブな気持ちになったりと、精神的にもさまざまな影響を与えます。また、筋肉が衰えて中年太りのような体型になったり、性欲がなくなったりと、見た目にも活力にも影響を与えるのです。

このような男性更年期障害の治療にホルモン注射は使用されます。男性ホルモンを直接体内に注入することで、男性ホルモン低下による症状を改善し、活力のあるイキイキとした毎日を過ごせるようになります。

Dクリニックではエナルモン注射(エナルモンデポー)を使用

当院で取り扱っている男性ホルモン注射は「エナルモン注射(エナルモンデポー)」です。注射に抵抗のある方や、手軽に男性ホルモンを補いたい方には「テストステロンクリーム(アンドロフォルテクリーム)」もご用意しております。

患者様の症状やお悩み、ご希望に合わせて適した男性ホルモン補充療法をご提案させていただきます。

そもそも男性更年期障害とは

そもそも男性更年期障害とはどのような病気なのでしょうか。男性更年期障害について詳しく見ていきましょう。

症状について

男性更年期障害は「身体」「精神」「性」の3つに関する症状が現れます。それぞれ詳しく解説します。

身体に関する症状

テストステロンには筋肉や骨を作り、男性らしい体を形成する働きがあります。そのため、テストステロンの分泌量が減ると筋肉量が落ち、内臓脂肪が増えたり疲れやすくなったりとさまざまな身体への影響が出るのです。

多汗

  • よく汗をかく
  • 枕が寝汗で湿っている
  • 室内にいるのに汗だくになる

ほてり

  • 緊張していないのにのぼせるような感覚になる
  • 体中が熱くなることがある
  • ホットフラッシュ(突然の発汗・ほてり・動悸)が起こる

不眠

  • なかなか眠れない
  • 夜中に目がさめてしまう
  • しっかり寝ていても日中眠くなる
  • 朝早く目が覚める
  • 夕方急に眠くなることがある

めまい

  • 耳鳴りがする
  • 座っていたり寝ていたりしてもめまいがする
  • 原因不明の頭痛が続いている

メタボリックシンドローム

  • 健康診断でメタボといわれた
  • ベルトがきつくなった
  • 体が重い

筋肉低下

  • 筋力が低下したと感じる
  • 階段を上るのが辛い
  • 近場でもバスや車などで移動してしまう
  • 軽い運動でも息切れする

関節痛

  • 手足や背中全体に痛みがある
  • 長時間イスに座っているのがつらい
  • 長時間歩くと膝や腰が痛くなる

疲労感

  • とにかく眠りたい
  • 疲労感がある
  • 夕方になると顔が疲れている

ひげ

  • ひげの伸びが遅くなった

高血圧

  • 動悸や息切れすることが増えた
  • 頭痛が続いている

心筋梗塞

  • 胸の痛みが気になる
  • 吐き気がする
  • 体がだるい

狭心症

  • 胸が締めつけられる感じがする
  • 軽い吐き気や気分の悪さが続いている

頻尿

  • 夜中に何度もトイレに行く
  • 長時間移動するときはトイレが気になる

精神に関する症状

イライラする

  • 小さなことで不機嫌になってしまう
  • 周囲に当たってしまう

不安

  • 若かった頃が自分のピークだったと感じる
  • パニックになりやすい

うつ

  • 憂うつな気分が一日中ずっと続く
  • 自分には価値がないと思う
  • 罪悪感がある
  • 自分を傷つけてしまう
  • 死にたいと思ってしまう
  • 最近心から笑えていない

食欲の変化

  • 食べる量が減った
  • 体重が減った
  • 極端に食欲が増えた

集中力・記憶力の低下

  • 仕事中のミスが増えた
  • 決断に時間がかかるようになった
  • 同じ仕事なのに時間がかかるようになった
  • 物忘れが多くなった

やる気が出ない

  • 趣味をするのが億劫になった
  • 無気力になった
  • 無理に奮い立たせないと何もできない

性に関する症状

勃起障害(ED)

  • 性交中最後まで勃起が続かない(中折れ)

性欲減退

  • 性欲がなくなった
  • 性的衝動が減少した
  • セックスを楽しいと思えない

朝立ち

  • 朝立ちの回数が減った

原因について

男性更年期障害の原因は男性ホルモン「テストステロン」の分泌量が減少することです。テストステロンは男性の心・体・性において重要な役割を担っており、減少することでさまざまなトラブルが生じます。

テストステロンは20〜30歳が分泌のピークといわれており、それ以降は徐々に低下していきますが、年齢の他にはストレスなどもテストステロン減少の原因といわれています。

対策について

テストステロンを増やすことで男性更年期障害の症状を軽減することができます。ご自身でできる方法としては①筋トレ②規則正しい食生活③質の高い睡眠④ストレス解消などがありますが、毎日継続するのが難しい、効果がわかりづらいといったお声もあります。

男性更年期障害は専門クリニックで治療ができるため、症状にお悩みの方はクリニックを受診するようにしましょう。

検査・診断について

<検査内容>
体組成計:身長・体重・体脂肪率・筋肉量・体水分量・BMI・腹囲・胸囲・首周り等
握力測定:筋力や運動機能を示すバロメーターとして測定
血液検査:男性ホルモン(テストステロン)を中心とした血液検査
超音波骨密度検査:かかとの骨による骨密度判定
PWV検査:血管年齢、動脈硬化度の検査
2D:4D検査:両掌のコピーを撮り、男性ホルモンとの関係性を診る

Dクリニックでは男性更年期障害が疑われる場合「男性力ドック」をお受けいただきます。男性力ドックはテストステロン値などを測り、精神的・身体的・性的な側面から男性力を総合的に判断する検査です。

あらゆる側面から男性力をチェックすることで、原因を見極め適切な治療方法をご提案いたします。

男性ホルモン「テストステロン」の働き

①性欲・精力アップ

テストステロンは精子の生成や性欲のコントロールと深い関係があり、性欲を高めたり精力をアップさせたりする働きがあります。

②集中力・記憶力を上げる

テストステロンは脳内の神経細胞の枝を増やし繋がりを強くすることがわかっています。情報のやりとりをする神経細胞が強化されることで、集中力・記憶力・判断力・決断力などの知的機能の向上が見込まれるのです。

③やる気を出す・精神を安定させる

テストステロンは「ミトコンドリア(身体のエネルギーを生み出す細胞小器官)」の健康維持にも関わっています。ミトコンドリアには不安や怒りなどのネガティブな感情を落ち着かせる働きがあり、若々しく活動するための重要な役割を担っているのです。

また、テストステロンは多幸感・やる気・快楽に関わる「ドーパミン」の産生を促すため、前向きな気持ちになれます。

④男性らしい体を作る・骨や筋肉の発達を助ける

テストステロンには筋肉増強作用があり、男性らしいゴツゴツとした骨格や筋肉を作ります。

⑤生活習慣病の予防・健康増進

テストステロンは一酸化窒素の産生を促し、内臓や血管にコレステロールなどの不純物が溜まるのを防ぎます。その結果、血管に関する病気の予防や内臓脂肪の燃焼に繋がり、生活習慣病のリスクが下がるといわれているのです。

男性ホルモンの減少による更年期障害にはテストステロン補充療法がおすすめ!

男性ホルモンの分泌量減少による更年期障害にはテストステロン補充療法がおすすめです。注射やクリームによってテストステロンを補うことができます。治療前には医師による診察があるため、テストステロンが減少している原因がわかり、適切な治療方法も見つかるでしょう。

筋トレや食生活の改善などのセルフケアもありますが、やみくもにケアを続けても効果を感じにくい場合があるため、症状が見られたらまずはクリニックで検査を受けてみましょう。

男性ホルモン注射「エナルモン注射(エナルモンデポー)」の特徴

男性ホルモン注射「エナルモン注射(エナルモンデポー)」の特徴についてお伝えします。

効果

デポー製剤の「エナント酸テストステロン(エナルモンデポー®)」を筋肉に注射することで、血中のテストステロン濃度を高めます。注射後3〜4週間でテストステロン濃度が低下するため、3〜4週間に一度のペースで治療を受ける必要があります。

副作用・リスク

  • 肝機能障害
  • 多血症
  • 善玉コレステロールの減少
  • 体毛の増加
  • ニキビ
  • 乳房の膨らみ
  • 精巣機能低下
  • 性欲低下
  • 男性不妊

テストステロン補充療法は比較的安全性の高い治療といわれています。しかし、投与量が多いと血中濃度が高まり副作用が生じる可能性があるのです。

また、テストステロン補充療法を長期的に続けると、精子を作る機能が抑制されてしまい男性不妊に繋がるケースがあります。将来子どもを希望される方は事前に医師に相談しましょう。

なお、副作用リスクを確認するためには3〜6ヶ月に一度の血液検査が必要です。

治療を行えないケース

  • 前立腺がんを患っている方
  • 前立腺肥大症を患っている方
  • 睡眠時無呼吸症候群の方(無治療)
  • 肝臓病をお持ちの方

テストステロン補充療法は上記に当てはまる方にはお受けいただけません。前立腺がんや前立腺肥大症は症状が進行し、睡眠時無呼吸症候群は症状が悪化する可能性があるためです。

また、テストステロン補充療法は肝臓に負担がかかるため、肝臓病をお持ちの方にもお受けいただけません。

男性ホルモン注射「エナルモン注射(エナルモンデポー)」の治療の流れ

初回のご来院(2時間程度)

①ご来院
受付にてお名前をお伝えください。問診票をお渡しいたします。
②問診票への記入
待合にて問診票をご記入ください。記入ができましたら受付にお戻しください。
③診察(男性力ドックの説明)
医師より症状の確認と男性力ドックの説明をさせていただきます。
④男性力ドック(検査)
検査着にお着替えいただき、男性力ドックを受診していただきます。
⑤会計/次回のご予約
お帰りの際に次回ご予約のご案内をいたします。

2回目のご来院

①ご来院
受付にてお名前をお伝えいただき、待合でお待ちください。
②男性力ドック結果説明
医師より男性力ドックの結果をご説明させていただきます。
③診察
男性力ドックの結果をもとに診察をおこないます。
④治療/処方
男性ホルモン注射で治療を行います。またはテストステロンクリームを処方いたします。
⑤会計
会計時に次回の予約をお取りください。

料金

製品名 用量 価格(税込)
エナルモン注射
(エナルモンデポー)
125mg 3,300円/A
250mg 5,500円/A
テストステロンクリーム
(アンドロフォルテクリーム)
1% 22,000円/本
2% 33,000円/本
5% 52,800円/本

男性更年期が疑われたらDクリニックまでご相談ください

男性更年期障害は男性なら誰でも発症する可能性のある病気です。なんとなくだるい、やる気が出ない、性欲が減ったといった症状は男性更年期障害が疑われるため、早めにクリニックを受診し治療を受けるようにしましょう。
男性更年期障害は男性ホルモン注射や男性ホルモンクリームで治療が可能です。毎日をイキイキと元気に過ごすためにも、一人で悩まずお気軽に当院までご相談ください。