男性にもある「更年期障害」とは?
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このコラムのポイント
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LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)は男性の更年期障害であり、テストステロンの低下が原因で、心(精神)、身体、性の3つの側面で様々な不調を引き起こす。
症状は50〜60歳代に多く見られるが、ライフスタイルによって30代後半から70代まで幅広い年齢層で発症する可能性があり、進行の仕方も個人差が大きい。
日本では特にシニア層でLOH症候群の認知度が低く、症状が単なる怠慢と誤解されることもあるため、周囲の理解が得られにくく、苦しむ患者も少なくない。
「更年期障害」は、女性特有の病気と考えられがちですが、実は男性にもあり、いま特に増えています。正式には「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)」といい、LOH<エル・オー・エイチ>または<ロー>とよばれています。
閉経前後にホルモンの分泌が減ることで起こる、女性の更年期障害と同じく、このLOH症候群も、加齢による男性ホルモンであるテストステロンの低下が原因で、さまざまな身体・精神の不調を引き起こします。
LOH症候群の自覚症状は、大きく3つの側面に現れます。1つめは『心(精神)』です。「やる気がしない」「集中力が続かない」「楽しめない」などの症状です。
2つめは「疲れやすい」「筋力が落ちた」「ビール腹になった」などの『身体』の変化です。最後に3つめは『性』の変化で、「性欲がわかない」「朝勃ちしない」などの症状が現れます。
テストステロンの低下が進行すれば、糖尿病やうつ病、メタボにもなりやすく、男性ホルモンの中でも、最も重要なホルモンなのです。
LOH症候群にかかる人は、女性と同様に50〜60歳が多いですが、その人のライフスタイルによってばらつきがあり、70歳になって表れる人もいれば、30代後半の患者さんもいらっしゃいます。
アメリカでは、2008年ごろから男性ホルモンを補充する薬が増え、今ではLOH症候群は一般的に認知されていますが、日本でのシニア層の中でも、あまり知られておりません。症状だけでは、単なる怠け者に見られることもあるため、周囲の理解が得られずに、苦しんでいる患者さんも少なくありません。
症状の表れ方や進行の仕方においても、LOH症候群は非常に分かりにくく、女性の更年期障害の場合は、閉経前後に女性ホルモンが急激に減少し、自律神経失調症などの身体の変化が見られますが、一定期間だけ症状が現れ、1年経つと症状がほとんど出なくなることもよくあります。それに反して、男性の場合は、テストステロンは、年齡を重ねるごとに、徐々に減ってくるため、症状の変化が少なく、時期も予測がつきません。少しでも当てはまるような症状がある方は、ぜひ一度専門のクリニックで検査してみてください。